導入事例
東映株式会社 様
お知らせを工夫し、イベント参加者増に繋げる
- 【業種】
- 芸能・映画・音楽/放送/イベント・興行/不動産
- 【ご担当者】
-
総務部厚生室:東出有也氏(写真左)
総務部厚生室:細田楓月氏(写真右)
RenoBodyウォーキングイベントサービスをご導入いただいている企業ご担当者にお話を伺うインタビューシリーズの第9回目です。
今回は、東映株式会社様にこれまでの健康経営の施策や、ウォーキングイベントを実施された際の取り組みについて伺いました。
[取材日:2023年4月25日/インタビュアー:村上友輝・小野瑛之]
目次
健康経営の方針やこれまでの取り組み
―健康経営について、御社の指針や大事にされているテーマなどを教えてください。
東出氏:2年前に当時社長だった手塚が「健康宣言」を行いまして、健康経営の取り組みをしっかりやっていこうと改めて強調するタイミングがありました。
東映は世界で愛されるエンターテインメントを創造発信することを企業理念としております。そのためには、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう心身の健康を維持し、向上させることが不可欠です。また、エンターテインメントはいわば人々の心の栄養になるものですので、その点でも健康は大事なものだと考えています。
―健康経営のこれまでの取り組みは、どのようなものがありますか?
東出氏:定期的に健康に関するセミナーを開催しています。最近では“介護”や“がん”のセミナーを行いました。他にも、健康管理システムを導入し、今まで以上に従業員の健康を可視化する取り組みを行っています。
また、社内報に「健康経営だより」を掲載するなど情報を積極的に発信しています。長時間労働につきましても、人事部と連携しながら取り組み、健康経営優良法人の認定を目指しています。
ウォーキングイベント導入の経緯
―これまでセミナーなど健康経営のさまざまな施作を行われていた中で、ウォーキングイベントを実施してみようと思われたきっかけを教えてください。
東出氏:以前から従業員の運動習慣の定着とウォーキングを絡めた取り組みを何かできないかという話がありました。
今の時代に万歩計を持ってイベントを行うのは難しいというところから、色々と調べて「RenoBodyウォーキングイベントサービス」に出合いました。このアプリ発信でイベントの内容を考えたような、本当に何もないところから始めた感じでした。
―2022年3月にウォーキングイベントの第1回目、同年9月に第2回目、そして2023年3月に第3回目を実施いただきました。過去3回、参加者は大体250名前後で少しずつ増加傾向にあり、直近の3回目が最も多くなっていますね。
東出氏:1回目が242名、2回目が246名で、この3月の3回目が262名だったので、今までの中では最も多い人数となりました。250名を超えるのが目標でしたので、我々もうれしかったです。
―対象者は毎回同じ規模でしたか?
東出氏:対象者は東映で働いている全従業員です。会社ドメインのメールアドレスをお持ちの方は参加可能としています。
全従業員を対象にした初のイベントで、想定外の入賞者数に驚き
―インセンティブをつけていただく中で、平均9000歩達成や1万歩達成と、比較的条件は高めの設定になっていますが、達成人数は想定通りでしたか?
東出氏:ウォーキングイベント導入時に、すごく歩く人たちだけの賞品設定だと、その方々だけのイベントになってしまうというアドバイスを受け、1回目にこの9000歩の賞を設けました。70〜80人いけばいいなと思っていましたが、1回目から126名の9000歩達成者が出て、我々もかなり驚きました。
2回目も9000歩の賞でそのまま続けましたが、イベント終了後のアンケートで賞品を増やして欲しいという要望が挙がりました。ではもう一段階上の賞も設けようということで、3回目で1万歩の賞を新設したのですが、達成者が1万歩は130人、9000歩は150人と想定をはるかに上回り、我々も非常に驚きました。
―8000歩が割としっかり活動しないと達成できない水準ですので、そこから考えると条件が厳しいのに達成率が高いというのは、素晴らしいですね。参加率の目標達成はいかがでしたか?
東出氏:これまで、このようなイベントを開催した実績がなく、全社的なイベントもほとんどありませんでした。100人を超える人数のイベントのイメージがあまりできていない状態で、始めは参加者の集まりが苦しかったですが、最終的に242名まで到達できたところで、もっと上を目指そうという空気が生まれました。
最終的には全従業員が毎回参加してくれるところをゴールとして目指しています。
ウォーキングイベントを実施して
配信時間やポスター掲示など、工夫を凝らしたお知らせ
―1回目は期間中に参加人数が増えていったような印象がありましたが、口コミなどで広がっていったのでしょうか?
東出氏:1週目ぐらいで参加者が30人ほどだったときは、頭を抱えました。
アプリのランキングといっても皆さんイメージが湧かない。どういうアプリか分からないので、ダウンロードする時点でハードルが高く、抵抗があったようです。しかし、イベントがいざ始まり、こういうものなのだと分かったところで、参加者が最後は100人ぐらい増えました。
―お知らせについて、個別に何かされたのでしょうか?
東出氏:お知らせの仕方はかなり考えました。従業員が比較的見てくれそうなタイミングで社内イントラに出したり、アプリの実際の画像―こういう画面が見えてランキングを競うんですよ―と具体的に分かるものを示したり。
弊社の会長の多田がウォーキング大好きでして、1回目のお知らせを見て会長賞を出すと申し出てくれたことも、イベントが盛り上がった理由の1つです。
細田氏:2回目も参加者集めに苦労しまして、特定の部署へピンポイントでメールを送るなど、最後の方はがむしゃらにお知らせをして、なんとか人を集めたという経緯がありました。
今回は、前回を踏まえて何時にメールやSlackを出したら、どのぐらいの反応があるかを細かく見ましたね、朝イチの配信はあんまり見てもらえないとか、発信してからその直後に何人が参加したかなども細かく見ました。
東出氏:お知らせの発信は、飛び道具的な感じでしたが(笑)。
細田氏:うちの会社はお昼休みが12時〜13時で、お昼から戻った直後は忙しいというのもあり、色々考えて、みんながちょっと眠くなったり、おやつを食べたいと思うぐらいの時間が良いかなとなりました。
また、ポスターを作って、どこに貼ったら効果的かを考え、各階のエレベーターホールのボタン横に貼りました。ポスターには二次元コードも載せて、待ち時間に読み込んでもらう仕組みも作りました。
私どもの会社には、誰かが何かを一生懸命やっているときに、それに賛同したいという気持ちを持ってくれる人が多いんです。どれだけこちらが本気で、みんなに参加してほしいのかが伝わるように、お知らせの文面にも気を遣いました。
入賞者に合わせた賞品選びなど、さまざまな形でおもしろみを演出
―賞品は事前に決まっているのではなく、入賞者が決まってから選ぶんですか?
東出氏:個人ランキングはそうしていますね。
細田氏:この人ならこんなものが好きそうとか、この人は何色が好きだからなど、なるべく人に合わせた物を選ぶようにしています。お渡しする際に「私のために選んでくれたの?」と聞かれて、そうですよと伝えたらすごく喜んでくださり、賞品選びに苦労したぶん報われますね。失敗もありますが、頑張ってこちらが真摯に取り組んだ分はきちんと返ってくるなと、すごく思います。
それから、ポスターと同じデザインでマフラータオルも作りまして、それも好評です。毎回色を変えており、大きく「TOEI Walking Week」と書いてあるのですが、おしゃれなので普段でも使えるという声も聞きます。
東出氏:優勝者とグループ1位のメンバーにお渡ししています。“選ばれし者がもらえるタオル”のようになってほしいと。
―ウォーキングの賞品としてタオルはいいですよね。
細田氏:イベント後も運動習慣を維持しつつ使ってくださいね、という意味も込めています。「3色コンプリートしたよ」という人もいますね。
東出氏:賞品もそうですが、いろんなフックで、ウォーキングイベントを少しでも盛り上げたいという気持ちでやっているところはありますね。
失敗から編み出した参加へのハードルを下げるグループ分けの極意
―ランキングのグループ分けで、工夫された点を教えていただけますか?
東出氏:1回目、2回目は部署でグループ分けをしました。1回目はシンプルに部署で分けたのですが、部署の人数差がすごくあり、ランキング1位になったのが2人の部署だったんです。平均歩数で競うグループランキングは、大人数であまり歩かない人がいるグループよりも、少数精鋭のグループのほうが優位になってしまいますよね。これは不公平だという声が1回目のアンケートで挙がりました。解決策として、2回目では人数を担保しようということで、7〜10人でグループ分けしました。
細田氏:1回目の歩数データや順位を参考にして、7〜10人という人数を守り、部を統合したり、逆に多いところは分割したり、隔たりがないように組み合わせましたね。
―データを分析して細かく分けるのは、すごいですね!
東出氏:でも、あまり評判が良くなくて……。隣の席の人が同じグループだと思っていたら違うグループで話ができないなど、我々が時間をかけて行った分割や統合が、あまり気持ちいいものではなかったという声が寄せられました。これはショックでしたね。
それで3回目はガラリと変え、本社の4つのフロアと撮影所などの事業所で分けて、大きな6つのチームを作りました。
前回のアンケートで、自分はあまり歩けないからグループの他の人の迷惑になるなら参加したくないという声もあり、母数の人数が30人や40人になると一人ひとりの足を引っ張る意識が薄くなるのではないかという狙いもありました。
今回やってみたところ、そこはまさに我々が想定した通りの印象を持ってくれた参加者が多く、隣の席の人も同じチームになるのでグループ分けについては好評でした。グループ分けが、参加者数増加の大きな鍵になったと思います。
イベントを行うなかで生まれた社内・外のコミュニケーション
―企画側として、印象深かった出来事などありますか?
細田氏:他の部署や従業員と関わりの少ない業務内容の方々も結構参加してくださっていたことが印象深かったですね。しかもかなりイベントを楽しんでくださっていて、順位も良くて……。
企画当初はそこまで考える余裕はなかったのですが、一緒に働いている従業員同士の仲間意識や、会社への帰属意識といったところにも刺激になっているようで、個人的にうれしかったです。
―業務内容的にコミュニケーションが取れない方はいらっしゃいますよね。
東出氏:ウォーキングイベントの開催で、話をするきっかけにはなったと思います。
細田氏:社食とかでも「どう、歩いている?」「今、何歩」「今日は、私が勝ってる」とかそういう話も聞こえてきて。
東出氏:「1位やばい」「これは、どこの誰なんだ」って。
細田氏:ほかにも、途中でもニックネームを変えられるので、どれだけおもしろい名前を付けられるかとニックネームで遊びだしたりもしましたね。今回、私たちはハリウッドスター縛りにして、“キャメロン・ディアス”と“マット・デイモン”がランキングに並んだり、そういうおもしろみもありますよね。
東出氏:エンターテインメントの会社なので、ニックネームを「何月何日何々放送です」のような告知ツールにしている従業員もいて(笑)。
細田氏:「科捜研の女よろしく」みたいな(笑)。「どこどこのケーキおいしいです」など、個人的アピールもありましたね。
東出氏:社内は今いった通りですが、社外ですと家族を巻き込んでいる従業員もいました。
このイベントがあるので出かける予定を組んで、みんなで歩いたとか。そういう話を聞いた時は、我々の活動も従業員を越えてそのご家族まで波及しているというのが、すごく印象深かったです。ご家族の健康まで届いているのかな、健康までいかなくても、思い出が一つできているのはうれしく思いました。
細田氏:駅で奥様と待ち合わせして、家まで一緒に夜景を見ながら歩いたという話を聞くと、ほっこりしますよね。娘さんが夜の散歩に付き合ってくれたとか、家の中でひたすら歩き回っているのに子どもが付き合ってくれたとか、そういう話を聞いてもいいなと思いました。
イベントが健康づくりに意識を向けるきっかけに
―ウォーキングイベント実施後、参加従業員様の健康意識が変わったなどありますか?
細田氏:セミナーなどは開催しても参加者が少人数で、私どもとしても一方的に何かをしているという意識があり、もう少し相互に関わり合えるものがあったらいいなという思いがありました。
今回ウォーキングイベントを実施して、セミナーと比べても多くの人数が集まりました。参加者の日々の歩数データをこまめに見ていましたが、9000歩達成のために多くの方が頑張っていることが見えてうれしかったですね。
また、イベント後のアンケートでも好意的な意見が多く、「やってくれてありがとう」や「楽しかったのでまたやってほしい」などの声が寄せられました。
東出氏:イベント後も、エレベーターを使わず階段を使うようになった方や、ひと駅前から家まで歩くようになった方もいるようで、イベントによって健康に意識を向けるきっかけができたんだなとうれしく思います。
細田氏:イベント後も引き続きアプリで毎日の歩数を確認している人も結構多いですね。これまでスマホで歩数計測をしていなかった方々が、アプリが見やすいということもあり、日々の活動量を知るためにアプリを活用しているという声もありました。
―弊社のサービスは、スポットの期間の活動量を上げるだけでなく、目的とするところは行動変容にあります。春と秋に1回ずつ開催される企業様が多いのですが、そこで意識を高めておけば、年間2回のウォーキングイベントでも、それ以外の期間も意識が高まった状態で続けていただけると思います。
東出氏:弊社では健康診断を4月と10月の1年に2回実施しており、ウォーキングイベントの開催はその前段階という意味も、裏テーマとしてありますね。
“気軽に参加できる”を強調することが若手従業員参加の決め手
―年齢層の高い方に比べて若い方は健康に対する意識が比較的低いこともあり、若年層の参加を課題にされている企業様が多いのですが、それはいかがですか?
東出氏:参加者ベースでいうと年齢層の差はなく、幸運にも若手社員も比較的参加してくれています。我々が入社9年目、10年目で、同世代や下の年齢の従業員に声がけがしやすく、そういったところで参加してくれているのかもしれないです。
RenoBodyウォーキングイベントは、参加者みんなでどこかに集まって行うわけではないところも、ここまで多くの従業員が参加しているポイントだと実感しています。
細田氏:運動会イベントなども検討しましたが、賛否ありますよね。運動会おもしろかったし、家族も参加できてよかったという意見がある一方で、会社にプライベートを持ち込みたくないという方も、もちろんいる。RenoBodyなら集まる必要がなく、強制的に参加させられることもないので、「アプリをダウンロードするだけだったらいいかな」と若い層も気軽に参加できているように思います。なんなら「とにかく日々勝手に活動しているだけでいいんです」という感じのこともいっています(笑)。
東出氏:我々は実名参加を強制せず、ニックネームもOKにしているので、そこも気軽に参加できる一因かなと思います。
―イベント終了後に、結果発表などはされているのでしょうか?
細田氏:イベント終了直後に、まずメールとSlackでニックネームでのランキングを発表します。その時点では部署とニックネームしかわからないので、「何部のトム・クルーズって誰だ」みたいな感じで、ちょっと社内がザワつくんですけど(笑)。
その後、社内報で本名と、許可していただければ写真を一緒に掲載しています。そこで初めて、「トム・クルーズって、誰さんだったんだ!」と分かるという仕組みになっています。
私どもでは事業所がいくつかあるほか、他部署との関わりが普段あまりない部署もあるので、社内報が情報発信の大事なツールでもあります。
東出氏:社内報は、紙のものと最近は電子データのものも社内で配信されるようになったので、その両面で発表しています。イベントの時期を発行に合わせているところもありますね。
―ありがとうございました。
取り組みのポイントまとめ
【実施期間】
【お知らせについて】
・二次元コードを掲載したオリジナルポスターを作成し、最も従業員の目にふれる場所に掲示
【グループ分け】
【楽しみの創出】
・ポスターと同デザインのオリジナルタオルを賞品用に作成(毎回色を変えて入賞者へ授与)
・個人入賞者への賞品は、その方々に合わせて個別に用意し、授与